はい、こんばんは。昨晩は、あまりのツカれに早々と就寝したワタシ。肝心の”ノルディック複合個人ノーマルヒル”を見るの忘れてた(まだまだ予選のカーリングなんか見てるんぢゃなかったヨ:アホ)。朝になったら、渡部暁斗選手「銀メダルおめでとう」であります。こういう掛け値無しのデッドヒートこそライブで見たかったモノではあるよなぁー。
ところで明日は、またまた降雪の予報が出ている東京周辺、今年の冬はいったいどーなってるんでしょうか。銀行やスーパーなど、今日中に目的を達しようと云う人々で大混雑だったらしいです。たこヨメが云うには、光ヶ丘のスーパーの棚はガラガラになってたそうですヨ。
本日は、デ・トマソ期、フィアット期のマセラティに多く使用されてきた集中ロックユニットについて、コレ以上分解出来ないホドに分解し、詳解しようと云った試みであります。

まずは、こういった感じで、新品パーツが本国からは送られて来ているワケです。ラベルにありますように、”正規モノ”であります。
ムカシはこのくらいの小部品の場合には、ラップでグルグル巻きにされて来たりハダカで来たりが普通のコトでしたが、今や立派なパッケージ箱に入って新品の集中ロックユニットはやってまいりました。箱から中身を取り出すと・・・ヤケクソ気味に大きなビニール袋に入れてあります。プチプチを別にイレて養生しようなんて気持ちは微塵もありません。すべては「コレでいいぢゃん!」のココロです。相変わらず明るく前向きでいいですね(笑)。

「あぁ、またコイツかぁ」箱から取り出すと、またまた大改造しないと使えない仕様のヤツが出てまいりました。
こんなに接合部分の作りを変えるなら、せめて変換カプラーキットくらい開発して同梱して欲しいモノですが、やはりすべては「コレでいいぢゃん!」のココロなのでしょう(おそらくマセラティ用でない、どこか他の銘柄用なんだと思う)。相変わらず明るく前向きでいいですね(「あとは野となれ山となれ」とも云う:笑)。毎度のコトながら、コレを見たダケでもゲンナリといたします。二つに割れるユニット筐体は樹脂製ですが、ソレらを合わせて結合している四箇所の銅製ピンのアタマはカシメてあるので、ドリルでソレを揉み取ってからピンを叩き抜く必要があります。

ユニット本体を二つに割りましたらこんな感じになります。御覧の様に基本的には新旧ともに同一設計の部材を使用して組み立てられている様子ですが、尾部カプラー部分の作りが大きく異なる様子が画像で御理解頂けると思います。今回開けてみた”不良と判断された旧型ユニットの方も、中身はほとんど汚れてもおらず、ホントに交換する必要があるのか?と訝りますが、動くんだけども、モーターの起動トルクがヨワっているんです。

新旧でもっとも異なる部分を拡大してよくよく観察いたします。まずは目に付くのが、新型のみに付いてるプリント基板です。
旧型ではマイクロスイッチ底部にある三箇所の端子に、コードが直接接合してありましたが、コードを持たない新型では、その代わりにプリント基板へとハンダ付けしてあります。プリント基板自体も、組立完了後には筐体内部骨格の一部となるように工夫され、「やったぜパパ!明日もホームランだぁ!!」な気持ちに一瞬なりましたが・・・ああ、新型の方はインドネシア製になっちゃってるヨ、いきなり”三振”のフラグが立つのでありました(泣笑)。

とりあえず、新型の基板にコードを設けなければハナシが始まりませんので、モーターともども取り出してみました。新型ユニットの方に入ってたモーターからプリント基板を繋いでいた紅白二本のコードは、旧型のモノに比べて半分くらいの線径のシロモノにサイズダウンさせられています。モーターとのハンダ付けも内職シゴト丸出しで、御覧の様に皮膜はすでにハンダ鏝によってコガされておりますね。基板のウラオモテで直結となるように、それぞれのコードをハンダ付けしていきました。

コレが旧型から取り出したユニット不良の原因と思われるモーター。どうして”思われる”と云うコシのヒケた表現になるのかと云えば、すべてのリンクから解き放って単体にすると、コイツの入ってた旧型ユニットの方も”スッコン・スッコン”と爽やかに動作自体はしてしまっていたからです。ただし、樹脂のブラシケース部分は経年と熱により褐色に変色しているのが写真からも伺えますんで、きっとそれなりにチカラも落ちているのでしょうね。

続いてコチラが”ラック”部分です。左写真の右側にある穴がドアラッチ金具から繋がるリンク棒の取り付け部分です。
樹脂製のラック、歯を切った部分が若干ヘタっているのが右の写真でお分かりになるでしょうか。こうしたホンの少しのヘタりでも、ユニット全体の動作に関わってくる部分です。もう一度左の写真に戻って、その一番左側で一番肉薄になっている部分のハラ(写真では下側)部分を御覧になってください。このわずか1.5センチくらいの幅の間でマイクロスイッチの動作ノブを押し込み続けると云うワケです。



コチラは、歯数の異なるギアを組み合わせたコンビネーションギアとピニオンギアの伝動ギア二態。左側のコンビネーションギアは目視では、コレと云った問題点を見出せませんが、右のピニオンの方は目で見てもヘタりが分かります。
黒い樹脂パーツ、モーター挿入口のフタは中央の穴からモーター軸が顔を出すように組み立てるモノです。
そして、上のコンビネーションギアの軸がコレ。なんだか、このあたりのパーツはコドモの頃にこしらえたモーターライズドプラモの部品さながらの様相を呈しております。一応金属製のピニオンがこんなにヘタっちゃうんだモンなぁ、やれやれ。

まぁ、こうしてあらためて見ましても、この集中ロック機構はこうしたユニット内部といい、周辺機構部分といい、トータルに色々なところの問題点がこんがらがってしまいがちな不安定極まる設計だと云わざるを得ませんね。むしろユニット自体がコワれてなくても動かなくなっちゃう場合が多いんです。ドア内部に張り巡らされたリンクの数々、そのジョイント部分や摺動部分、ドアラッチユニットの内部の機構部分等など、ソレら合計摩擦抵抗の一切を強引に押したり引いたり出来ないとならないメカなんですね。くやしいから、せっかく交換したのにまともに動作してくれなかったインドネシア製の内部を御覧ください。コレと云ってマズそうなところは無いんだけどなぁ。基部端子がハンダの内側で腐食などして接触不良になってるくらいしか考えられん・・・うーん。







はい!ここからは専ら今後ボケる一方であるワタシのため(笑)に、もう一度バカになって、一から組み立て方法のおさらいをばしておきましょうね。
ここでの図像は、メカ部分の動きを理解するためのモノなので、あらかじめ(たまたまだけど)電気コード類はすべて撤去した状態で組み上げております。ホントはあの電線コード類(このユニットの場合は5本)をどうにかこうにか各部に干渉せぬ様に内蔵しながら組み立てていくのが結構たいへんなんですけどね。だから新型の方では基板を採用したり、モーターコードの線径を細くしたりして組立工程の簡素化を図っているモノと考えられます。
コチラ左写真群の工程⑦までイッたら、組み合わされる”B面”筐体(写真にある方は仮にA面とします)を最後にピッチリと貼り合せて固定ピンをイレるのですが、その時にコードがアレコレと挟まってしまわない様に組み立てるのがポイントとなります。
当然、モーター軸に刺さるピニオンギア(軸に刺さる裏側はD穴加工になってる:空転止めのため)中心軸とコンビネーションギア軸の二本の軸は、B面筐体の軸受穴に手探りで挿入しながらの作業となります。組み立て時にムリムリ筐体A・B面をチカラづくで合わせたり、B面軸穴をハズしてたりいたしますと、筐体が微妙に変形し、ラック尾部がマイクロスイッチ上部のオレンジ色のノブをキチンと押さなくなりますので、納得がいくまでキチンとパチンと合わせましょうね。

最後になりましたが、ビトルボ系マセラティにおいて、本日御紹介した樹脂筐体と基本構造を持つ集中ロックユニットには、旧型においては電気コード(新型においては外部接続端子接点)が五本のモノと二本のモノが存在します。コード五本のモノには、マイクロスイッチが必ず入っており、キャブ時代のビトルボ全シリーズ、そしてすべてのマセラティクアトロポルテⅣ系とマセラティ3200GTを除くビトルボマセラティ全車(222系、430、228、スパイダーザガート、カリフ、シャマル、ギブリⅡ)で通常はフロント左右のドアに仕込まれております。
ちなみにこのたびの「みっち」さん号(マセラティスパイダーザガート)では、運転席からは解錠施錠ともに通常通り出来るケド、助手席からは出来ないと云う症例でした。助手席側から施錠しようとすると、ハネ返される様にインナーノブが上にアガってきてしまいます。こういった場合には、実にダメな側の反対側のロックユニットこそが不調(前述の様にユニット内部要因と外部要因がある)なんです。とってもややこしいでしょ。まず内蔵のマイクロスイッチはオレンジ色のノブが出っ張ってる時にON(通電)、押されている時にOFF(絶縁)なんです。
いよいよややこしいですが、ここからがキモですからね。
例えば、今回の様に助手席のキーシリンダーを回して施錠してみた場合、助手席側ではドア内部メカである複数のリンクがユニットのラック軸を直接引っ張ります(ここまでは、キーを回すと云う施錠動作が先に繋がるリンクにチカラを伝導していく・・・云わば人力による動作です)。ここで上の右図を見てください。この時、ロックユニットのラック軸は伸びきった状態になりますね?するとマイクロスイッチのオレンジノブは顔を出してON(通電)となります。なんと、この助手席側ロックユニット内のマイクロスイッチは、運転席側のロックユニット内モーターの起動スイッチとなっているのです。もちろん逆もまた然りであります。
そこで、どうしてハネ返される様に戻ってしまうのかと云えば、通電時に運転席側のロックユニット内モーターがドア内部リンク群の持つ摩擦抵抗に抗してキッチリと押し出せなくなっているからマイクロスイッチがON(通電)に一瞬なるんだけれどもOFF(絶縁)に押し戻されてしまう。左右ドア内の集中ロックユニットは回路の途中にモーターの正転逆転制御と動作停止固定(一旦動作を開始したモーターは一定の動作後に停止し、且つ、それを維持する必要があります)を司るリレーユニット(助手席グローブボックス上部、ダッシュボード裏面にボルトオンされています)を介していますので、コレが狙い通りのタイミングでウマく働かなくなるために起こる現象なんです。時に、このリレーユニット自体がバカ(笑)になるケースもありまして、この場合には一旦解錠か施錠の動作をいたしますと「バッツン・バッツン・バッツン・バッツン・バッツン・・・」と永遠に自動開閉動作を繰り返し、とっても笑えます(笑ってる場合ぢゃ無いんだけれど、こんなマンガチックなクルマが他にありますでしょうか。ホンに可愛いよなぁ:笑)。ともあれ、今回の場合には、一旦組み立てたユニットを付けたら、症状が変わってしまった(運転席側から開施錠すると、助手席がまったく無反応となる)ために、すべての原因精査を期してリレーユニットをもハズし、その筐体をバラした状態で動作チェックを行いました。丸一日半も掛っちゃったヨ。
それじゃー、また明日!さぁ、今晩もオリンピック見よ。
2013年3月4日以前の過去記事は、「マセラティでイッてみよう!:Part2」で。
このブログを読んで、マセラティを初めとするイタリア旧車の世界に足を踏み入れたくなってしまったアナタ(あんまりいない様な気がするケド:笑)は、マイクロ・デポ株式会社の公式ホームページ「マセラティに乗りませんか・・・」の方ものぞいて見てくださいね。さらにディープなネタ、やってます。