マセラティクアトロポルテⅤのトランクロックAssyを初分解
はい、こんばんは!本日は事前の予報通りにしょぼしょぼと霧雨の降るはっきりしないお天気でしたが、午後には「Hでございます」さんが久しぶりの御来店、お目に掛かるのは本年初頭の”正月ダメ男の集い”以来です。おすすめの映画は現在公開中の「ラッシュ/プライドと友情(公式サイト←思いっきり音出ます、御注意を!ウィキはこちら)」と云う、ニキ・ラウダやジェームス・ハントが活躍した70年代中期のF1サーカスを題材にしたセミドキュメント物だそうです。俳優は実在人物のそっくりさん、マシンはコレクターから借りてきたモノホンで、1976年の日本GPまでをも再現してるとの由。「最初はバカにして行ったんですけど、結構良く出来てましたし面白かったですヨ、ぜひ、観にイッてくださいね!」とのチカラ強いお誘いに、「可及的速やかに、前向きに善処いたします」と、映画館の大音響が苦手なワタシは後ろ向きな答弁をしてしまいましたが、面白そうだからホントにイッてみようかな・・・(ニホンゴ吹き替え版の方は勘弁してほしいケドね:笑)。
本日は久しぶりの画像30枚仕様でお送りする、皆さんの反応ウスい”非ビトルボ系本ネタ”でイッてみましょう。マセラティクアトロポルテⅤDS(「札幌のI」さん号)のトランクリッド開閉に関わるハナシですが、昨日午後から本日の朝いちまでの闘い(笑)を「あくまでもワタシ自身の”備忘録”」として残しておくモノです(最近このブログを御覧になった方々からの”禁断の追加的技術相談(笑泣)”が絶えませんので・・・)。
・・・まずは、トランクフードパネル裏のカーペットトリムをハズします。
これでもかと云うくらいに大量のグロメットが差し込まれておりましたが、一体型成型カーペットの留めは、このグロメットたちだけに依存していますんで、いたし方無いところでありましょう。
カーペットを裏返すと、結構キチンとした製品仕様の表示ステッカーが貼られていました。カナリアイエロー色の内装はオシャレです。
このカーペットトリムを除去いたしますと、トランクフードインナースキンに内蔵されたトランクフードロックAssyを、ようやく覗き見るコトが出来る様になります。キーシリンダーにキーを挿し、如何様に回そうともテコでも解錠しない(おそらくは)やっかいなメカトラブルをシュートしてみようと思います。
ロックユニットAssyからは、かなり上部に位置するキーシリンダーまでの間にアウター&インナーワイヤーケーブルがあります。
インナーケーブルの上部先端を引っ張り上げますと通常は簡単にロック解錠となるのですが、ケーブルはスムーズにヒケるのにも関わらず、ロックの方はウンともスンとも反応いたしません。室内や、メインキーの電気的解施錠は出来ますが、バッテリー上がりを起こした時などは、メカ解錠が出来ないとエライ事になります。バッテリーがトランクルーム内右側にある(泣)からです。万一そのような場合でも、ボンネット内の電気回路に通電させてどうにかする策もありますが、セキュリティ確保のため、ここではその方法をお知らせ出来ません。
さてさて、こうして取り出したるトランクロックユニットAssyですが、結構メカ部分よりも電気的な構成要素が目に付くモノですね。
とは申しましても、大概、アナログの極致みたいなコト(設計・製造)をして、ややこしい動作を実現しているのが、これまでのイタリアン高級車の常でありますから、この際メカ部を全バラシにしてみようと思います。
なんだけど、イヤだなぁーコレをバラすの。どこからどう見ても、分解を拒絶しているように感じられます。まずは、ロック爪のメイン軸の頭部カシメをスリとって軸を抜くところから開始なんだろな。ケース締結用のタッピングビスにも青く封印マーキングが施してあるし。どーせ分解途中でスプリングとかステーとかピンとかがバラ~ンと出てきてしまうのも目に浮かんでまいります。
ま、とりあえずは、バラす前に各部をよ~く見つめて、アホなアタマの中には、想定される内部構造や部品構成とその組み順序などを叩き込み”イメージトレーニング”をいたします。
「アレ、これは簡単にハズれそうだな」と樹脂の筒をハズしてみたケド、予想通りにモーターが一個出てきたダケで、コチラは今回のお題”(たぶん)メカトラブル”とは関係なさそうです。
それでも、作業の途中でコード類などをハズす局面も想定されますので、各部を細かく写真撮影しながら作業を進めます。施錠状態になりっぱなしのロック爪。その奥に見える金具の動きを精密ドライバーの先で突いてみたりしながら、何とかメカ的に解錠させてやれとアレコレ試みたものの、やっぱなんか引っ掛かってる風情。・・・思い切ってバラしましょ。
・・・かくして、ロック爪の支持軸頭部をスリとり、軸を少しだけ抜きかけた状態で樹脂本体ケースを挟み込む様に覆うガッチリとした肉厚のステー状金具を取り去ります。
合計四本のタッピングビスを解き放つと樹脂のケースが左右に分かれますが、内部構造を見るために徐々に、徐々に開いていきます。そうしているうちに、ロック爪の軸がポロッとあっけなく抜け、中からスプリングやら小部品やらが景気よく飛び出してまいりました(大泣)。
せっかく開けてはみたものの、ドコがどうなると正常な解施錠動作をするようになっているのか、はたまた電気的接点部分と基板の組み合わせ方法などなど無いアタマをシボりにシボって推理して行きます。
樹脂のケース裏側にしっかりと内蔵するように保持される各スプリングひとつ見ても、一体組み立て時にはどうやってるんだろうと悩む知恵の輪構造なんで、そもそも数学的パズルにヨワいワタシはメカ屋の経験則と、各部に残る摺動痕ダケを頼りにして各部品の組み順序の把握や、動きの再現に腐心いたします。ま、しかしながら、伝統的にカギ屋さんのメーカーだから様々なノウハウがあるんでしょうけれども、コレ組み立てるにはきっと専用治具と工具が色々と必要なハズです。内部には、想定していた部品の破片も見つからず、そもそものメカトラブルの原因探求の結果は「新品時からの組み損ない(いわゆるひとつの不良品:大笑泣)」であるコトに決定。自らの思うところにより組みなおしてみようと思い立ちました。
構造を把握するために、主にモーターを内蔵する側のケースへと、パズルよろしく小部品の数々をあーでもないこーでもない、アッチに向けたりコッチに向けたりと組み付けてみます。
これまでの写真には出てきませんが、反対側のケースにもリターンスプリングが一個内蔵されておりまして、ソイツはロック爪が開放状態になった時に、外側に向かって押し出す役割をしてるらしいのですが、二分割の樹脂本体ケースを合わせながら組み立てて行く時にはソレも”宙ぶらりんの状態で(このスプリングのテンションはあとから掛けられる様になってる)”のまま、だいたいの定位置にもっていかなくてはなりません。
二つの樹脂ケースをピッタリと組み付けるためのガイドとなる軸は、ロック爪の軸とモーター軸の二本。その他数本のガイドピンも相手側の樹脂ケースから生えておりますのでソコもキメなくてはなりません。
電気的接点に何かが干渉しない様に気をつけながら、すべての臓物を定位置にくる様に保持しつつ、少しずつ樹脂ケース間のスキマを詰めてまいります。ウラオモテに電気接点を持つとともに、ロック爪の動作そのものをすべてキメるための”メイン金具”には、大きな復元反発力を持つメインリターンスプリングの片端を、しかも接点樹脂ベースの裏側に掛けねばなりませんが、スプリングを定位置にキメ、しっかりと内蔵させるためのホルダー溝(スプリングが定位置に組み付けられた状態時のカタチに彫ってある)は、なんと反対側ケースの方にありますんで、コイツの組み立ては本当にやっかいでした。このユニットを製造している工場では、いったいどのような治具を用いているのか聞いてみたいモノです。組み立てフィニッシュのヒントは上の写真や文章の中に大概あります(コレを見ながら作業するだけでも二~三時間はラクに浮きます)が、一般的にはヤラない方がいいと思います。ものすごく困難な作業でしたから。
ともあれ、雨がアガったらトランクフードに装着して動作実験してみないとね。ソレでダメなら一からやり直しだぁ。一発でキマりますように・・・。
それじゃー、また明日!
2013年3月4日以前の過去記事は、「マセラティでイッてみよう!:Part2」で。
このブログを読んで、マセラティを初めとするイタリア旧車の世界に足を踏み入れたくなってしまったアナタ(あんまりいない様な気がするケド:笑)は、マイクロ・デポ株式会社の公式ホームページ「マセラティに乗りませんか・・・」の方ものぞいて見てくださいね。さらにディープなネタ、やってます。
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コメント
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Iです。
我がクアトロポルテが大変お手数をおかけしているようですね。
何卒最後までよろしくお願い致します。
因みに、このトランクリッドが納車前の最後の作業なのでしょうか?
そうであることを切に願っております。
話変わって、昨日も話題になってました「硝子坂」ですが、酔った勢いでダウンロードしてウォークマンにインストールしちゃいました。そして、聞きながら出勤しましたー。改めて原曲を聞いてこんな風に歌ってたのねって思いました。
投稿: I | 2014年3月27日 (木) 19時31分
トランクロックの構造解析は、高度な設備が整った研究室で白衣の研究者が行っているのではありません。
指先の職人的感覚と研ぎ澄まされた感性と根性のみで解析しているのです。たこちゃん凄い。
・・・サイレントランニングは大ハズレでしたが今回のオススメ映画は是非とも観てみたいモンです。
投稿: Sm | 2014年3月27日 (木) 22時16分
このあたりの作業、「キー」と発狂せず冷静に対応されているのがすごいです。
備忘録の写真撮影も美しい。
前にも書きましたが、こういう丁寧な仕事、見習いたいと思います。
投稿: Wさま | 2014年3月27日 (木) 22時25分
ばらすはいいのですが、それを組み立てるとなると、、、。謙遜されていますが、数学的というか幾何的というか、なにしろそのセンスなしには不可能では?。
私、もち無理。
投稿: 一松 | 2014年3月27日 (木) 22時32分
昨日は大変お忙しい中、お邪魔してしまいました。
本当にお久しぶりでありました。
私的には、大変充実した1日でありまして(笑)
楽しかったなぁ・・・。
大感謝であります。
で、見せて頂いたトランクロック、このような構造になっていたのですねぇ。
いやぁ、図面もないのに、よくもまぁ、ここまで解析したものであります。
執念とは恐ろしい(笑)
完成品、触らせてもらいましたが、それはもうパチパチと景気良く作動してましたよ。
オーナーの方、これでもう、トランクばんばん開けちゃって下さい。
何の説得力もありませんが、実物見た私が保証します(笑)
で、社長はトランクロック完成のお祝いと労いを兼ねまして、RUSHでも観に行かれて下さい(笑)
ホントにお勧めですから。
因みに、久しぶりに模型弄ってたら、こんな時間になっちゃいました(笑)
という訳で、今度カレー持って伺いますね。
投稿: Hでございます | 2014年3月28日 (金) 03時23分
難解なパズルを解く楽しさと苦しさが同居しています。しかし結構この手の仕事はたこちゃん好きなんだと思います。1回ばらしてまた組みなおす。そしてその構造を理解するという作業!で、もって完成して上手く動くとこれまたなんともいえない達成感がありますから、しかしダメだとドつぼにはまりますが。
QPのトランクロックアッセイは、グランスポーツ、クーペあたりも同じ構造なんでしょうか。
ラッシュは行って見たいと思っていながら、なかなか行けず、見ていません。
投稿: 練馬のH | 2014年3月28日 (金) 08時55分