はい、こんばんは!一昨日の”ホルモン屋で忘年会”は、どーゆーワケか皆さんの酒量が、通常の”7割増量セール実施中”となり、当然の如くに”狂乱の宴(笑)”。面白可笑しく過ごしたアッと云う間の四時間でしたが、ソコでナニをハナシてたかは皆目憶えてない(泣笑)くらいに泥酔。昨日の日曜日も朝4時起きでシゴトだと仰ってた「Hでございます」さんは、さてもさても、おツラかったコトでありましょう。「おぐ」さんと「Wさま」さんにも泥酔状態で全速力での疾走(コレもキツそーだ:泣笑)を強いてしまいましたし、ホント皆々様方には御苦労をお掛けいたしました。ワタシ?昨日曜日は、強度の老眼となってから、スッカリ普段読まなくなった”活字”と一生懸命にニラメッコをしておりましたヨ。





・・・その”活字”の正体がこの御本。
なにしろ、今どき300ページ超え、コチラも”ホッピー中ダケ”に負けず劣らずの”大増量セール実施中”な分量ですから、本来、現在のワタシの実力に於きまして、老眼鏡片手ではとてもとても一日での読破はムリなのですが、なぜか昨日は”忘年会”でのスッキリ効果のおかげか、メガネ無しで(両腕は突っ張ってるケド:笑泣)なんとか最後まで読み終えるコトが叶いました。ひょっとすると、この本の主たる需要層を考慮して、ワタシの様な老眼ジジイにも読み易くするための配慮が活字の書体や装丁に凝らされているのかも知れません。
実は、一昨日の土曜日に、タッキュービンが届きまして、まずは差出人のお名前を見て「!!」。あの”カーヒストリアン”として名高く、各方面で絶賛御活躍中であり、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン会長を長きに亘って務められている”エッコさん”御自身からのモノではあーりませんか。エッコさんは、ワタシが「こうなってしまった(泣笑)」遠因を作った張本人のおひとりでもありますから、ここはヒト肌もフタ肌も脱ごうと云うモノ。
「フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング(著者:越湖信一 株式会社KADOKAWA刊 定価2300円+税)」と云うのが頂いた御本の表題ですが、もう、いきなり題名が長いデス(笑)。而して、ワタシが更なる副題を添え得るならば、「コレこそが”スーパーカーのココロ”だぁー(今は亡き小沢昭一先生風に叫んでください:笑)」とでもいたしますか。なにしろ、その”エッセンス”を抽出し抜いた著作であります。
トビラを開けば、ランボルギーニカウンタックの手描き透視図。裏表紙をめくれば同様にマセラティブーメランのが出てきて、些かならず得した気分となりました。懐かしいツッパリ君たちが着こなしていた”変形ガクラン”の如く、裏地にイイ仕事がしてありますな。いきなり黒ビキニのちゃんねーがブーメランのフロントフードに乗っかってたり、赤ビキニの方は512ピニンファリーナモデューロ(あの「Hでございます」さんがワンオフでスクラッチビルドしたヤツのモノホンがコレだぁ)の前で不遜にも仁王立ちしていると云う、いかにも70年代的な”パンチの効いた(笑)”口絵ページのトビラがまずはステキ過ぎます。
なにしろ、この圧倒的な分量ですから、初めから通して読むのは些かツラそうな予感がありましたんで、まずはイントロダクションを熟読し、次に目次の章立てから推して「(あくまでワタシ的に)興味の持てそうな章」を探し出し、まずはソコから攻めてみようと思いました。のっけから、イントロ部分P13の最後の五行、「”溜飲を下げる”などというフレーズをはじめとした難易度の高い漢字を覚えたのは某自動車雑誌からであったし、」ってトコロがいきなり刺さりました。ワタシは中学一年生の頃に古本屋で1960年代のカー○ラフィック誌を片っ端から買い漁り、幾度となく読み倒しましたので、今は亡き小林彰太郎翁がまだ壮年期に差し掛かる頃の”文学的表現による心躍るインプレ”や、同じく若き日の高島鎮雄先生や山口京一先生のライブ感溢れる海外レポートには本当に胸をときめかせていたモノです。ムカシの日本に於ける”カーヒストリアン”と云えば忘れられないのが五十嵐平達先生ですが、いかんせん当時の情報量の少なさと、伝達スピードの遅さの中では、海外の自動車史を纏め上げるのは至難であったと推測されます。
そこで、そのような”自動車史の中に於ける、イタリアンエキゾチック(カー)”をどこまで掘り下げて記述されているかが、平成の御代に於いて新たに上梓されたこの御本に期待されるところです。不肖、ワタシが305ページにも及ぶ”イタリアンスーパーカーの海”を泳いでみたところでは、次のような感想を得ました。
①:「第一章 誰も知らないスーパーカーの真実」は、ワタシが十数年も以前に書いた当店公式サイトの”マセラティ擁護のコーナー”を始めとする自虐ネタ(ソレはあくまで零細製造業を出自とするワタシの皮膚感覚ダケで記述していました:笑泣)の数々を、生きた自動車史を背景にしつつ初めて学術的に裏付けてもらえた様な気がしたコト。イタリアの田舎で作ってる中小企業のシゴトである・量産しない(出来ない)し、よって品質には大きくバラつきがある・ハヤそうなカタチはしているが、決してハヤくはない・・・などなどは、シンパシーを感じまくり。コレをワタシなりに補足いたしますと、やっぱ往年(1960年代・70年代)のカ○グラをコドモの頃から読み込んでいれば、イタリアンエキゾチックカーメーカーのシゴトがロクな事になってないのは(特に当時に於いては)”御約束”以外の何物でもなく、今様に云えば”デフォルト”なのであるコトは日本語が読めるならばハラの底から理解出来ると云うモノです。特に、1967年くらいから1973年いっぱいくらいのカーグ○は、往年のイタリアンエキゾチックカーの真実について理解したい場合には当たり前の様にマストな読み物だったのですが、ソレの読破を達成するには根気よく神田あたりの古本屋巡りを続けるか、三日間くらいは大手町ビルヂングの自動車図書館に入り浸る必要がありました。翻って、この御本の第一章に於いては、ただの10ページで”そのスーパーカーのココロ”が一発理解出来る様に煮詰められ収斂されきってます。コレはスゴイ事です。ちなみに、CG誌はスーパーカーブーム時に於いて、”(子どもを含めた)俄かサン”を蛇蝎の様に嫌い、イタリアンエキゾチックカーからは大きく距離を置いた編集方針を貫いてしまった(コレは日本自動車雑誌史に於いての大いなる誤謬)ゆえに、正しい”日本のスーパーカーブーム”がキチンとしたカタチで伝えられなくなってしまいました。コレが現在に至るまで、現実に”あれだけのブーム”があったと云う世界的に見て特殊且つシアワセな状態がありながら、本邦に於いて本物の倶楽部的で”粋”なクルマ道楽が今もなお根付いていない原因の大半を占めるとワタシは思っています。この罪深き(笑)カー○ラ誌に対しまして、云わば小林翁の古巣でもあったモーターマガジン社ではモーターマガジン誌及びホリデーオート誌にて大々的に”日本のスーパーカーブーム”を1975年後半~1978年前半まで取り上げまくっておりましたので、御興味のある御仁は古本屋さんで手に入れてみると面白いでしょう。特に、スーパーカーブーマーで無かった前後世代の方々にはお奨めいたします(その当時ならではの”ライブ感覚溢れる歪みっぷり”をこそ御堪能頂きたいのです:笑)。あえて名を秘すケド、当時スーパーカーねたのメインライターで元レーサーだったと云う某氏はあからさまにフェラーリ&ピニンファリーナ贔屓である上、”(エキゾチック)スーパーカーのココロ”が理解出来てないから、いつもランボルギーニをクソミソに書く。当時ランボルギーニ&ベルトーネ軍団贔屓であったワタシには、なにしろ毎号ソレが癪に障ってねぇ~。他の凡百=チマタに溢れる量産車と同じ俎上に載っけて、イタリアンエキゾチックを論じるのが如何にバカバカしいかは中学生にも理解出来たのに、浅いなぁ、ホント。本邦に於いて、月形半平太の”小粋”なココロ(「春雨ぢゃ、濡れてまいろう」)は、遠く幕末の段階で潰えてしまったらしい。”イタリアンエキゾチックカー”と”独逸的完全無欠主義”の中間(ちゅうげん)に”江戸前の粋”があるとワタシは常々愚考しております。
・・・閑話休題。ついついスーパーカーブームの頃のハナシを書かせるとワタシはメンドくさいヤツに。
②:各章の随所に出てくる「スーパーカー人(びと)」と云うコトバから、筆者から絶え間なく発せられる”愛のメッセージ”を感じさせられた。
③:出版ビジネスに於ける”当然のオトナの事情(笑)”を最大限に斟酌しつつ、そのギリギリのところをキープして「分かるヒトには分かる(と云うか、分かるヒトにしか分からない:笑)」メッセージ(真意)を発信している。だからワタシはそこかしこでニヤリと、する(笑)。
④:ワタシの様な生半可通が、従来”点”としてしか持ち得なかった情報を、現在考え得る最強の”スーパーカー人(びと)人脈”への綿密な取材によって”線”とし、”面”としてくれている。
⑤:(コレは、おそらく③に関連した限界なのだけど)自動車史の一面を切り取った書物なのかビジネス書なのか、おそらくは意識的に判然としない様な筆致で描かれ抜いている。最大公約数の読者を得るには、いたし方ないとは思う。
⑥:P221~P222の記述に於ける、「”ディエゴ・デ・シュテーリッヒ=アーリプランティ侯爵がオルシ期以前の草創期に於いて、マセラティ社の経済的な後ろ盾であった」と云う史実や、P225あたりからの”ボロ布集めから立身出世!アドルフォ・オルシの手でマセラティは蘇った”とか”アドルフォ・オルシの作りたかった4ドアスーパーカー(あらゆる世代の”クアトロポルテ乗りは”全員読むベシ←イタリア語で、ただ”4ドア”とネーミングされているウラには、これっくらいの深さがあるんだと云ったところをよくよく御吟味頂きたい)”などの項目は、特筆すべきだと思った。
⑦:(コレは日本人であり、ニホンゴしか解さないワタシにとってヒジョーに重要なコトだが)この素晴らしい内容が全文日本語で読めると云うコト。このコト自体が、実は本邦に於いて相当に画期的な”事件”なのです。
⑧:口当たりのいいコトばかり云わずに、あえて一読者としてのワタシが(専ら独善的に)”毒”を吐くならば、「パニーニとマクラーレンと現行ブガッティに関する記述は要らない」。なんとなればワタシの人生史にまったく無関係だから(笑)。むしろアストンマーティンとロータスにはもっと甘くしても良かったのではなかろうかと。但し、イタリアンエキゾチックカーの周辺事情を整理する意味では、この本の特性上はいた仕方ないのかも知れない。
⑨:巻末の”スーパーカー用語集”はまったく物足りないんで、この御本の”格”に似つかわしくない(エッコさん、ゴメンなさい!)。って云うか、ホントに筆者自身がモノしたのかすらも疑わしいゾ。・・・あ、あくまで私見ですからね。
⑩:とりあえず、ウチの顧客様や当ブログのヘビーユーザーには、必携の書であると思う。また、ビギナーにもエキスパートにもそれなり以上の読後感を齎すのは間違いないと思う。特に、P262からの”マセラティでスーパーカーを作った唯一の日本人メカニック”伊藤義敦氏に関するコラムは、この2ページだけでも”買い”。
とにかく、まずはワタシなどの書く駄文とは趣の異なる文体の格調高さに酔い痴れてください!本当にクルマの好きなヒトが何度も読み返せば、スグに近年のランボルギーニかビトルボ期マセラティが(なぜか)欲しくなるコト請け合います(のココロが幾人分かるかなぁ:笑泣)。さぁ、とりあえずアマゾンかツタヤにGOだ!!
最後にエッコさん、本日はホント失礼しました(怒らないでね←今度は御本自体にサインをください・・・っつーか、一度ワタシと本格的に”呑みま専科”?、ホルモンで:笑)。イタリアンエキゾチックの”亜流(泣笑)”に、文字通り、身も心も人生も捧げたオトコの生き様に免じて、そっと許してくださいましな。
それじゃ、また明日。
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また、2013年3月4日以前の過去記事のみの閲覧は、「マセラティでイッてみよう!:Part2」で。